日本国内の株に投資をしている投資家のみなさん、外国人投資家の思考法を知りたいと思いませんか?
今や日本株式市場の売買シェア約7割を占める外国人投資家。
外国人投資家が好む業種や買いたくなる銘柄など、
日本マーケットのトレンドを大きく左右する、
外国人投資家についてフォーカスした「日本株を動かす外国人投資家の思考法と投資戦略」という本を紹介します。
日本株を動かす外国人投資家の思考法と投資戦略
まずは本書の概要を簡単に説明します。
この本は、外国人投資家に関する幾つもの本を上梓してきた株式ストラテジスト、菊地 正俊(きくち まさとし)さんの著書です。
本書は2017年に出版された『日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法』のアップグレード版です。
本のタイトルも「日本株を動かす外国人投資家の思考法と投資戦略」となり、外国人投資家の最新の動向について5年ぶりにアップデートされた内容になっています。
著者の菊地さんは日本株ストラテジストとして、外国人投資家に日本株への投資を促すため、調査した内容を説明する仕事を長年続けてきた方です。
そのため外国人投資家との付き合いが長く、外国人投資家は日本市場をどのように見ていて、外国人投資家に買われる企業や売られる企業の特徴などが詳しく記されております。
日本株市場の売買シェア7割を占める外国人投資家
外国人投資家は日本株市場の売買シェアの約7割を占めるほどで、日本株市場にとって大きな影響力を持っています。
日本株の投資家にとって、株価の行方を大きく左右する外国人投資家の動向は常に気になるところです。
日本株の株価は、上がるも下がるも外国人投資家次第と言っても過言ではないかもしれません。
外国人投資家については、漠然としたイメージしかないという人も多いと思います。
本書の第1章では、外国人投資家とは何者で、日本の株式市場にどのような影響を与えているのかについて解説されています。
外国人投資家の買越額と相関が高い金融・経済指標や、外国人投資家の買い方の特徴など、外国人投資家の実態がイメージしやすいと思います。
外国人投資家が買いたくなる銘柄とは
本書では、投資家なら知っておきたい外国人投資家が好む業種や買いたくなる銘柄についても触れられています。
主に外国人投資家は、国際的な競争力があるグローバル企業で時価総額が大きい企業を好むようです。
時価総額が大きい企業が外国人投資家のスコープに入りやすく、外国人投資家は同業のグローバル企業と比較して投資を検討するようです。
外国人保有比率が高い業種についても触れられており、トップ2は「精密」と「電気」です。
業種が「精密」と「電気」で外国人保有比率が高い主な企業は次の通りです。
精密 | 電気 |
HOYA テルモ オリンパス |
ソニー ファナック キーエンス |
他にも外国人投資家はオーナー系企業を好み、社長力に注目していることについても解説されています。
また、日本の投資家ほど中期経営計画を重視していないことや、外国人投資家に評価される中期経営計画についても説明されています。
外国人投資家が日本企業のどのようなことに注目し、実際に投資する際に重視していることが分かりやすくまとめられています。
外国人投資家の買越額はほぼゼロだったアベノミクス
アベノミクスといえば株価高騰のイメージが強いと思いますが、意外にもアベノミクスでの外国人投資家による買越額はほぼゼロだったようです。
日本が変わるという期待から、大きく増えた外国人投資家による日本株買いは、2015年半ばのピーク時には20兆円の買い越しに達します。
しかし日銀の異次元金融緩和にもかかわらずデフレ脱却が進まなかったり、コーポレートガバナンス改革が遅いなどの理由から失望され失速。
結局アベノミクスの外国人投資家による買越額は、約1兆円の買い越しに終わったようです。
それなりに株式投資の経験が長い人には、アベノミクスは良い印象しかないという人が多いと思いますが、これは驚きの結果なのではないでしょうか。
ちなみに買越額が最も多かったのは小泉政権の時だったそうです。
日本の株式市場を客観的に見ることの大切さに気づく
株式投資に関する本は様々ですが、本書の著者は主に外国人投資家にフォーカスしている内容の本を多く上梓しています。
日本株のストラテジストとして長年培った、外国人投資家との様々な経験をもとに書かれた本書は、外国人投資家の投資行動を熟知している著者だからこそ語れる内容でとても参考になりました。
普段はそれほど意識していませんでしたが、
外国人投資家の思考法を知ることで、日本のマーケットを客観的な視点で見ることの大切さに、あらためて気付かされました。
外国人投資家の動向に興味がある投資家さんは、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。