今回は「気になる銘柄分析」というテーマで、「NTTドコモ(9437)」の株を分析してみます。
NTTドコモの事業概要や直近の業績、主な株価指標から投資のポイントなどについて解説します。
では順に行ってみましょう!
NTTドコモの事業概要(どんな会社?)
銘柄コード | 業種 | 時価総額 |
9437 | 情報・通信業 | 9兆6,536億円 |
説明するまでもないと思いますが、NTTドコモは国内携帯電話事業のトップシェアを誇る大手通信キャリアです。
画像出典:NTTドコモ/IR情報(ドコモの強み)
2019年12月時点での携帯電話契約数の国内シェアはドコモが44.2%でトップです。
携帯電話事業は新規参入の楽天が加わり、今後は4キャリアで凌ぎを削ることになりますが、携帯電話事業に限っては、まだドコモの強さが目立ちそうです。
NTTドコモの事業セグメント
NTTドコモの事業は以下の3つのセグメントに分類されています。
- 通信事業
- スマートライフ事業
- その他の事業
それぞれの事業セグメントの概要と主なサービスは以下の通りです。
画像出典:NTTドコモ/IR情報(ドコモの事業と収益構造)
2019年度のセグメント別実績は以下の通りです。通信事業は減益ですが、スマートライフ事業は伸びているようです。
画像出典:NTTドコモ/IR情報(説明資料)
NTTドコモの業績と財務
NTTドコモの業績は以下の通り。
画像出典:kabutan
ROEは11.14%でROAは7.95%、売上営業利益率は18.37%です。
売上高や営業利益率が減少しているとはいえ、携帯キャリアの収益性の高さが伺えます。
- ROE:10%以上だと優秀
- ROA:5%以上だと優秀
- 売上営業利益率:10%以上だと優秀
財務実績
画像出典:kabutan
40%を超えると優良企業といえる自己資本比率は69.7%と全く問題ないレベルです。
流動比率は156%で有利子負債倍率も0.05%と、財務的にも健全そのものです。さすが国内携帯電話事業トップのNTTドコモですね。
- 自己資本比率:40%以上だと安全水準
- 流動比率:120%以上だと安全水準
- 有利子負債倍率:1倍以下が理想
NTTドコモ株(9437)の配当
NTTドコモ株といえば上場以来、一度も減配したことがないという配当実績が魅力です。
配当維持は数回ありましたが、ここ数年は連続増配を続けております。
現時点での配当利回りは3.64%で配当性向は約67%です。配当性向は高ければよいというわけではありませんが、まだ増配の余地はありそうです。
NTTドコモ(9437)の権利確定付きは3月と9月。配当金の各権利日は以下の通りです。
中間配当 | 期末配当 | |
次回配当金権利付最終日 | 2020年9月28日 | 2021年3月29日 |
次回配当金権利落ち日 | 2020年9月29日 | 2021年3月30日 |
次回配当金権利付確定日(基準日) | 2020年9月30日 | 2021年3月31日 |
- 配当(1株あたり):120円
- 配当利回り:3.64%
- 配当性向:66.6%
NTTドコモ株の株価診断
NTTドコモの現時点(2020/4/28)での株価は3,295円です。
下記画像はNTTドコモ株の直近(約1年分)の日足チャートと約10年分の月足チャートです。いい感じに右肩上がりになっています。
- 直近(約1年分)の日足チャート
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画像出典:kabutan - 約10年分の月足チャート
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画像出典:kabutan
割安性を測るPERとPBR
株価の割安性を測るPERとPBR。PERは業績が非開示のためわかりませんが、PBRは2.19倍です。
さすがに割安とは言えなくなってきた印象ですが、まぁ妥当な株価ではないでしょうか。
では業態が同じ通信キャリアで高配当株銘柄のKDDI株と比較してみましょう。
NTTドコモ | KDDI | |
PER | 業績非開示のため不明 | 11.9倍 |
PBR | 2.19倍 | 1.71倍 |
株価だけに限って言えば、KDDI株の方が割安だといえますね。
NTTドコモ株(9437)への投資のポイント
NTTドコモ株のような安定的な優良銘柄は、定期的なインカムゲン(配当収入)を目的とした長期保有に適しています。
すでに時価総額が10兆円を超えるNTTドコモのような大企業の株は、株価の高騰を狙ったキャピタルゲインを目的とするような銘柄ではありません。
もちろん一定期間保有して株価が上がった場合はキャピタルゲインも得られますが、テンバガーを狙うような銘柄ではないということです。
大手通信キャリアの株は不況にも強く安定的な収益が魅力なので、高配当株投資のポートフォリオには入れておきたい銘柄だと思います。
たぶん高配当株投資をメインに国内の株式に投資をしている人のポートフォリオには、高確率でNTTドコモ株が入っているのではないでしょうか。
KDDI株のような株主優待はありませんが、そのぶん配当金で還元してくれれば問題ありません。むしろ私はその方がいいと思っています。
但し、投資に絶対はないので、定期的に株価や決算などの情報はチェックして、状況によっては柔軟に対応する必要があるでしょう。
NTTドコモの今後の課題
NTTドコモに限ったことではありませんが、格安SIMや楽天の参入もあり、現在3社で寡占している大手キャリアの通信事業は、これまでのような利益成長が望めなくなると考えられます。
また再三にわたって総務省から通信量の値下げを指摘されており、通信事業の客単価は下がる傾向にあります。
通信事業以外の事業成長が課題
大手通信キャリアは、通信事業以外の事業を積極的に展開していますが、ソフトバンクとKDDIに比べて、ドコモは少し出遅れている印象を受けます。
5Gサービスが始まったことで通信事業での収益拡大も期待できますが、5Gサービスが普及するにはもう少し時間がかかりそうです。
2019年度の決算資料では、スマートライフ事業の成長が示されておりましたが、通信事業以外の事業セクターをいかに成長させるかが、これからのドコモの課題といえそうです。
メルカリとの事業提携にも期待です。
まとめ
今回は国内携帯電話事業の王様「NTTドコモ(9437)」の株を分析してみました。
通信事業は利益率が高く、参入障壁が高い寡占事業といえます。
1度契約すると、なかなか解約されない安定的なストックビジネスなので、安定した配当を出し続けられるのが強みです。
個人的には高配当株投資には欠かせない銘柄だと思います。
最後にNTTドコモ株(9437)のポイントをまとめておきます。
- 定期的なインカムゲン(配当収入)を目的とした長期保有に最適
- 上場以来、減配なしの配当実績
- 株価は割安とはいえないものの、まだ妥当な水準
- 今後は通信事業以外の事業成長が課題
このブログでは株式投資にまつわる疑問や個別株の分析など、株式投資に役立つ情報を発信しております。
今後も個別株をできるだけ簡単に分かりやすく紹介してみたいと思いますので、よろしければ参考にしてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。