今回の気になる銘柄分析は、キング・オブ・グロース銘柄「レーザーテック(6920)」です。
レーザーテックの事業概要や直近の業績、主な株価指標からレーザテック株への投資のポイントなどを解説してみます。
レーザーテックの事業概要(どんな会社?)
銘柄コード | 業種 | 時価総額 |
6920 | 電気機器 | 7,741億円 |
レーザーテック株式会社は、PCやスマートフォンなどに使われている、半導体の検査装置などを開発している検査機器メーカーです。
半導体に関連する周辺ビジネスは多くありますが、レーザーテック社では半導体を検査・計測する検査装置の開発において、高い技術力で半導体の発展を支えています。
半導体の検査計測装置においては、なんと世界のマーケットシェアが100%で市場を独占しております。
半導体は微細化が進んでおり、それに対応するためには検査計測装置もレーザーなどのあらゆる光を使った、最先端の光応用技術が求められます。
レーザーテック社では光応用技術を用いた高い技術力で、同社にしかできない半導体の検査・計測装置を提供しています。
レーザーテックの事業セグメント
レーザーテック社の事業セグメントは大きく分けて以下の4つです。
- 半導体関連装置
- エネルギー・環境関連装置
- FPD関連装置
- レーザー顕微鏡
4つの事業セグメントの中でも、現在売上げの大半を占めるのが半導体関連装置で、海外の売上比率が80%以上になっているようです。
レーザーテック社では「グローバルニッチ戦略」という戦略を掲げており、4つの分野で世界シェア100%の製品を開発しているのだそうです。
レーザーテック社には「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」という経営理念があるそうですが、まさに経営理念が反映されたような素晴らしい企業といえそうです。
レーザーテックの業績と財務
2020年4月28日に発表された、20年6月期第3四半期累計(19年7月~20年3月)の連結業績は以下の通りです。前年同期比が全てプラスというさすがの連結業績。
第3四半期累計決算【実績】
画像出典:kabutan
売上高が前年同期比+19.2%増の約256億円、営業利益は前年同期比+54.4%増で約88億円、経常利益は前年同期比の56.9%増の約89億円。
売上と利益は順調に増収増益となっていますが、対通期進捗率(通期計画の140億円に対する進捗率)は63.7%にとどまっています。
3ヶ月業績の推移【実績】
画像出典:kabutan
直近3ヶ月業績の実績では、売上高が前年同期比+21.8%増の約56億円、営業利益は前年同期比+48%増で約8億円、経常利益は前年同期比+82.1%増の約9億円。
売上営業損益率も、前年同期(19年1~3月期)の12.8%から15.5%に上昇しています。
収益性
画像出典:kabutan
会社が試算した4-6月期(4Q)の連結予想では、ROEが28.94%で、ROAが12.72%、売上営業利益率は35%です。
さすがキング・オブ・グロース銘柄、収益性の高さは抜群です。
- ROE:10%以上だと優秀
- ROA:5%以上だと優秀
- 売上営業利益率:10%以上だと優秀
財務
画像出典:kabutan
自己資本比率が前期の62.1%から44%に低下しておりますが、特に問題はないでしょう。
余剰金は335億円に積み上がっており、有利子負債倍率も0です。流動比率は156%。
財務面も全く問題ないですね。
- 自己資本比率:40%以上だと安全水準
- 流動比率:120%以上だと安全水準
- 有利子負債倍率:1倍以下が理想
キャッシュフロー
画像出典:kabutan
営業キャッシュフローが約2倍に増えており、会社が利益を上げる能力が高いことがわかります。
営業キャッシュフローが多くなっているというのは、良い会社の第一条件ともいえます。
フリーキャッシュフローも増えて理想的なキャッシュフローです。
レーザーテックの配当推移
レーザーテックの配当推移を見てみましょう。2020年6月期の中間配当は、1株当たり31円となっています。
画像出典:レーザーテック/IR資料室(説明会資料)
レーザーテックでは「安定的な利益還元と業績に応じた弾力的な運用」と「連結配当性向35%以上を目安とした利益還元」という配当方針で、株主還元に積極的です。
レーザーテック株(6920)の配当金権利日
レーザーテック(6920)の権利確定付きは6月と12月です。
期末配当 | 中間配当 | |
配当金権利付き最終日 | 2020年6月26日 | 2020年12月28日 |
配当金権利落ち日 | 2020年6月29日 | 2020年12月29日 |
配当金権利確定日 | 2020年6月30日 | 2020年12月30日 |
レーザーテック株(6920)の株価診断
レーザーテック(6920)の現時点(2020/4/28)での株価は6,270円です。
下記画像はレーザーテック(6920)の直近(約1年分)の日足チャートと約10年分の月足チャートです。
直近(約1年分)の日足チャート
例の感染症による世界的な株価暴落で、直近の2月から3月にかけて株価が大きく下落していますが、急激に上昇して上場来高値を更新しています。
画像出典:kabutan
約10年分の月足チャート
長期的に見ると2017年辺りからの上昇が凄まじいですね。これぞ“キング・オブ・グロース株”といわれる所以です。
画像出典:kabutan
株価の割安性を測るPERとPBR
割安性を測るPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は、予想PERが56.5倍でPBRは16.36倍です。
さすがグロース株の日本代表というようなハイアベレージとなっていますね。
すでに割安というには程遠い株価に成長しておりますが、レーザーテックのようなグロース株はPERやPBRを見て、割安かどうかで投資する銘柄ではないと言えます。
市場からの期待が大きいレーザーテックのようなグロース株(成長株)は、PERやPBRが高くなる傾向にあり株価も高騰します。
レーザーテック株(6920)への投資のポイント
業績や財務も良く、現在のところ特に悪い材料はないので、グロース株投資が好きな方には目が離せない銘柄です。
半導体市場は今後も世界的に需要が拡大すると思われますが、企業の成長と共に株価もこのまま上昇していくかは未知数なところがあります。
もっと株価が上昇する可能性も普通にあると思いますが、レーザーテック株(6920)にこれから投資するなら、色々なシナリオを検討して投資タイミングを図るのが良さそうです。
まとめ
これからは5GサービスやIoTの普及が加速すると思われるので、世界的に半導体関連企業の需要が拡大していくと思います。
米フィラデルフィア証券取引所のSOX指数(アメリカの半導体関連30銘柄の単純平均株価指数)も順調に回復して来てます。
レーザーテックのように高い技術力で市場を独占できるような企業には、まだまだ追い風が吹いているといえそうです。
株価がどこまで上昇するのかが気になるところですが、株価に関係なく単純に日本にこのような企業があるというのは誇らしいですね。
最後にレーザーテック株のポイントをまとめておきます。
- 市場シェア100%を誇る半導体関連企業
- 連続増収で業績・財務は問題なし
- さらなる株価上昇も期待されるキング・オブ・グロース株
レーザーテックのようなグロース株(成長株)を発掘したい!という人には「オニールの成長株発掘法」という本がおすすめです。
このブログでは株式投資にまつわる疑問や個別株の分析など、株式投資に役立つ情報を発信しております。
今後も個別株をできるだけ簡単に分かりやすく紹介してみたいと思いますので、よろしければ参考にしてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。