オニールの成長株発掘法

オニールの成長株発掘法を読み解く3つのポイント

オニールの成長株発掘法

成長株(グロース株)投資のバイブルと言われる名著「オニールの成長株発掘法」を読み解く3つのポイントを紹介します。

この本は次のような方におすすめです。

  • 大化け成長株のチャートパターンが知りたい
  • オニール独自の銘柄スクリーニング方法が知りたい
  • オニールの投資哲学が知りたい

オニールの成長株発掘法を読み解く3つのポイント

オニールの成長株発掘法を読み解く3つのポイントをピックアップします。

  1. 成長株のチャートパターン
  2. CAN-SLIM(キャンスリム)
  3. 損小利大で損切りを徹底

成長株のチャートパターン

この本ではさまざまな成長株のチャートパターンが紹介されております。

大化け成長株のチャートパターンを取っ手付きのカップに例えた、“Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)”は特に有名です。

Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)

Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)
画像出典:オニールの成長株発掘法

Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)は、大化け成長株に最も共通しているチャートパターンとして紹介されています。

チャートの形状が取っ手付きのカップに似ていることから、Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)と名づけられました。

成長株はある程度上昇(カップ形成前から30%以上)すると、一度ベースと呼ばれる投資家のふるい落とし期間に入ります(一旦12〜33%くらい下落=カップの深さ)。

ベースとは株価が上昇局面に表れる調整やもみ合い期間の事で、カップ・ウィズ・ハンドルでは、カップの深さで表現されています。

ベースの期間は3〜6ヶ月程度かかり、カップの底はV字ではなく下図のように丸くU字の形状になっているのがいいようです。
Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)

カップの取っ手部分は1〜2週間以上かかって形成され、前回の高値付近でもみ合った後にもみ合いをブレイクして本格的な上昇に入ると、長期投資家だけが残ってその後は株価が下がりにくくなるそうです。

本書では不完全なカップ・ウィズ・ハンドルの形状や、どこがポイントになるのかを詳しく説明しています。

株式投資をしている人なら聞いたことがあるであろう、Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)という言葉を世に知らしめたのが正にこの本です。

CAN-SLIM(キャンスリム)

オニールの成長株投資の代名詞とも言えるのが、“CAN-SLIM(キャンスリム)”と呼ばれる独自の銘柄スクリーニング法です。

CAN-SLIMとは成長株を見分ける7つの指標の頭文字をとったもので、それぞれの意味は次の通りです。

C(Curent Quartery Earnings)
当期四半期EPS(1株利益)と売上
A(Annual Earnings Increases)
年間の収益(EPS)増加
N(Newer Companies,New Products,New Management,New,Highs Off Properly Formed Bases)
新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けた新高値
S(Supply and Demand)
株式の需要と供給
L(Leader or Laggard)
主導銘柄か停滞銘柄か
I(Institutional Sponsorship)
機関投資家による保有
M(Markert Direction)
株式市場の動向

CAN-SLIM(キャンスリム)は個人投資家に相性が良い投資法で、長期的に継続して上昇する可能性が高い銘柄を機械的に選定します。

この本の肝になっているCAN-SLIM(キャンスリム)。オニールの成長株発掘法を音楽で例えるなら、サビの部分がCAN-SLIMと言えるでしょう。

CAN-SLIMの指標については、本書でそれぞれ詳しく説明されています。

損小利大で損切りを徹底

株の名著と言われる大抵の本は、事前に売買ルールを決めることを推奨しています。

この本でも売買ルールを明確にすることが重要だと書かれていて、利益目標を20〜25%程度、損切りについては7〜8%とするように書かれています。

例外的に弱気相場の時には、利益目標も損切りラインも小さくすることを推奨しており、損切りについては3%を目安としています。

1、2週間で20%の利益に達したら半年持つことも考えると言っており、オニールがいかに利益を最大化して損を小さくするかということを重要視しているかがわかります。

オニールは損切りできずに破産していった投資家を何人も見てきたようで、“損切りができないようなら株はやめたほうが”いいと言っています。

「損切りができないのはブレーキがない自動車に乗るようなものだ」といういう考えの持ち主です。

ウィリアム・J・オニールとは

この本の著者である“ウィリアム・J・オニール”とはどんな人なのかを簡単に紹介します。

ウィリアム・J・オニールはアメリカのオクラホマで生まれてテキサスで育ったそうです。

1958年に「ヘイドン・ストーン・アンド・カンパニー」という証券会社に就職して金融界でのキャリアをスタートさせています。

オニールは入社当初から目覚ましいトレーディング成果を上げていたようです。

30歳の時に株で得た利益を元にニューヨーク証券取引所の会員権を取得して、機関投資家を対象としたリサーチ専門の証券会社「ウィリアム・オニール・カンパニー」をロサンゼルスに設立しています。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」に対抗した、「インベスターズ・デイリー」の創設社としても知られています。

投資家としてもビジネスマンとしても大成功を収めた、アメリカを代表する著名株式投資家の一人です。

バリュー株投資で大成功を収めたウォーレン・バフェットに対し、成長株投資で大成功したオニールは、「成長株(グロース株)投資の神様」と称されています。

オニールをリスペクトする著名投資家も多く、成長株投資においては“ゴッド・ファーザー”的な存在ですね。

オニールの成長株発掘法 まとめ

「オニールの成長株発掘法」は、“成長株(グロース株)投資のバイブル”とまで言われる名著で、多くの著名投資家が影響を受けたとしてこの本の名前をあげています。

基本的にオニールの成長株発掘法は、少数銘柄への集中投資を前提としており、主にキャピタルゲインを目的とした株の投資法です。

インカムゲイン(配当)が目的の株式投資では参考になりませんので、その点については理解しておきましょう。

この本で紹介された、成長株の特徴をチャートパターンで説明している“Cup with handle(カップ・ウィズ・ハンドル)”や、成長株を見分ける7つの指標の頭文字をとった“CAN-SLIM(キャンスリム)”はあまりにも有名です。

初版の発行が1988年という古い本ですが、現代でも成長株投資の本といえば、この本の名前を真っ先にあげる投資家がダントツで多いです。

600ページ以上のボリュームがあるので、読むのをためらうという人も多いと思いますが、要点となる部分だけでも繰り返し読んで、投資力アップに繋げてみてはいかがでしょうか。

少し難しく感じるかもしれませんが、成長株投資で大成功を収めたウィリアム・J・オニールの哲学が詰まっています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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