今回は株式投資初心者の方におすすめの本を紹介します。
本のタイトルは「【図解】ROEって何?という人のための経営指標の教科書」。
この本は株式投資の企業分析には欠かせない主な経営指標を分かりやすくまとめた本です。
数ある経営指標の中でも、特に投資家からの注目度が高いROEについては、様々な角度から詳細に解説されているので、ROEを詳しく理解したいという人にはおすすめの本だと思います。
詳しくは本を読んでいただくとして、この本を読んでROEを理解するためのポイントを、私なりに簡単にまとめてみます。
- ROEは経営指標の1つにすぎない
- ROEが重視されているのはなぜ?
- ROEと自社株買いの関係
ではそれぞれ説明していきます。
ROEは経営指標の1つにすぎない
ROEとは「Return On Equity(リターン・オン・エクイティ)」の略で、株主から預かっているお金を、どれだけ効率的に使って利益を上げているかを見る指標です。
ROEは数ある経営指標の1つにすぎませんが、株の投資家にとっては、とても馴染み深い経営指標です。
経営指標とは、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書など)から算出される数値を使って、会社の経営状態や財務状況を分析する指標です。
そのため、ROEを完全に理解するためには、最低限の財務諸表の読み方を理解することが必要です。
財務諸表というと、小難しい会計の基礎知識が分からないといけないのかと思ったかもしれませんが、そうではありません。
この本では小難しい会計の基礎知識がなくても「最低限身につけておくべき財務諸表の読み方」と「それを使ってROEを含めた主要な経営指標を計算・分析する方法」がセットで解説されています。
本の第1章で、ROEを理解するために最低限知っておきたい財務諸表とポイントがまとめられているので、財務指標がわからない人でも安心して読み進めることができると思います。
ROEが重視されているのはなぜ?
数ある経営指標の中でもROEを重視する投資家が多いのはなぜでしょう?
このブログもそうですが、投資系のブログやYouTuberさんの動画でも、銘柄分析の際には必ずといっていいほどROEの数値が紹介されているはずです。(短期トレード系の場合は別ですが)
理由は簡単で、ROEを見れば株主から預かったお金を使って、その会社がいかに効率的に利益を上げているのかが分かるからです。
ROEは「当期純利益÷自己資本(≒株主資本)」で計算されます。例えば当期純利益が同じ10億円だとして、A社は自己資本が50億円、B社は自己資本が1,000億円だったとします。
この場合、A社のROEは20%でB社のROEは1%になります。
当然ですが自己資本(株主から預かったお金)が少ないA社の方がROEは高くなるので、A社の方が株主から預かったお金を効率的に活用して利益を上げているということがいえます。
一般的にROEが高い会社ほど経営がうまい企業とみなされて株価が上がる傾向があり、株主へのリターンも高くなると考えられます。
この本ではROEとセットで語られることが多いROA(純資産利益率)との違いや、ROI(投資利回り)についての説明など、なぜ株主がROEを重視するのかが分かりやすく解説されています。
ROEと自社株買いの関係
株式投資をしていると「自社株買い」という言葉に敏感になります。
実は自社株買いとROEは密接な間柄です。
先ほどROEは「当期純利益÷自己資本」で算出すると書きました。 ROEを高めるには主に以下の2つの方法があります。
- 分子である投機純利益をあげる
- 分母である自己資本を下げる
どちらの方法が良いかといえば、やはり上手な経営をして純利益をたくさん上げる①の方が望ましいでしょう。
しかし手っ取り早くROEをあげるために、多くの企業が②の方法の一つである自社株買いを利用しています。
ざっくりいうと、自社株買いをすると企業の株主資本や自己資本は減るので、ROEの計算式の分母が減ることになり、結果的にROEは高まります。
自社株買いされた株は将来的に償却されるのが一般的で、発行株数が減ると1株当たりの純利益は増えることになります。
1株当たりの純利益は配当の源泉なので、1株当たりの純利益が増えれば株価は上がることになり、株主へのリターンも増えます。
自社株買いは株主に喜ばれ、企業にもROEが高くなるというメリットがあります。
多くの企業が自社株買いをするにはこのような理由があるのです。
この本の第2章では、このことについて詳しく説明されており、自社株買いをしてROEを高くする問題点などについても丁寧に解説されています。
この本を読んだ感想
この本はROEを含む経営指標を理解するためのポイントがまとめられており、ビジネスパーソンにはとても役立つ内容となっています。
この手の本は、小難しい用語や基礎知識が前提になっているものが多いですが、この本はとても読みやすいです。
私の場合、恥ずかしながらROEという単語は株式投資をするようになってから知ったのですが、最初の頃はただ単純に「ROEが高い企業=有料企業」という認識ぐらいしかありませんでした。
あながち間違いではないと思いますが、やはりそれだけではもの足りません。
この本は「ROEって何?」ていうタイトルが示す通り、会計の基礎知識がないような人にでも分かりやすいように、所々で図解が使われていたり、様々な例をあげて経営指標が理解しやすいように書かれています。
この本の表紙のイメージからか、ROEについての本かと思ってしまいがちですが、ROE以外の経営指標の説明も多く書かれています
本の冒頭の方で、「経営指標を学ぶことは、とてもレバレッジの効く自己投資なのです」という一文があります。
私もその通りだと思います。
今回紹介したのは、この本のほんの一部に過ぎません。興味があればぜひ読んでみてください。
ROEを含む経営指標の理解が深まると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。