まぐれ「Fooled by Randomness (The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets)」

【投資家におすすめの本】まぐれ|投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか

まぐれ「Fooled by Randomness (The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets)」

今回は、金融デリバティブのトレーダーであり不確実性科学が専門の教授が書いた名著「まぐれ 投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか」を紹介します。

普通の投資本とはかなり趣向が異なりますが、投資家や投資に興味がある人にはおすすめの本です。

投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか

まぐれ|投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか Fooled by Randomness (The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets)原書は「Fooled by Randomness (The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets)」というタイトルの本で、Googleさんに直訳してもらうと「ランダムネスにだまされる人生と市場におけるチャンスの隠された役割」ということです・笑

大まかな本の内容としては、「投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか」ということを、様々な観点から著者の深い洞察力と独特のシニカルな表現で説明されています。

投資の技術論的なことや銘柄選定術みたいなことは一切ありません。

よくある投資本とは趣旨が異なり、投資における不確実性について造詣の深さが感じられます。

本を読み進めて行くと著者の皮肉っぽい表現が、「まぐれ」というシニカルな翻訳版のタイトルに反映されたのかなと感じます。

金融市場が主な題材として語られていますが、投資の指南書というよりは、あくまでも人間の本質的なことにフォーカスしている本です。

投資本ではありがちな、リスク管理や確率論的な手法などの投資理論とは切り口が全然違います。

金融市場や日常生活においては、「偶然や運」という不確実性なことが、人間の思考や感情にどういう影響を与えているかということを説いています。

研究者としての強いこだわりが感じられ、自分自身を俯瞰的に見ることの大切さに気づかされます。

金融取引の技術的な手法や方法論ではなく、不確実性について深く考えさせられる本です。

著名投資家のエピソード

この本では著名な投資家のエピソードが所々で紹介されています。

「イングランド銀行を潰した男」として知られる「ジョージ・ソロス」や、そのソロスのファンドのファンド・マネージャーにも抜擢された伝説の投資家、ヴィクター・ニーダーホッファーについてのエピソードなどが語られています。

著者のナシーム・ニコラス・タレブさんが運営していた「Empirica LLC」という金融ファンドの名前は、ヴィクター・ニーダーホッファーの「実証できることは、必ず実証してみるべきだ」という言葉から取られたのだそうです。

皮肉屋の著者が「今までこれほど頭の良い人物には会ったことがない」と言わしめるほど、ヴィクター・ニーダーホッファーからは多くのことを学んだと語られていますが、強く影響を受けた人でもあったのだと感じられます。

ヴィクター・ニーダーホッファー(Victor Niederhoffer)

ハーバード大学で統計学と経済学の学士号を取得、シカゴ大学で博士号を取得。1967年から1972年までの5年間、カリフォルニア大学バークレー校にてファイナンスの教授を務めた。1965年、学生であった彼は友人のフランク・クロスと共に、非上場企業を買収し上場企業に売却する目的での投資銀行を共同設立した。

1980年には投資ファンドを設立しパフォーマンス的にも成功を収めると、それがジョージ・ソロスの目にとまり、ソロスのファンドのパートナーとして招かれた。ニーダーホッファーは1982年から1990年までソロスのファンドに在籍したが、ソロスはニーダーホッファーのことを「相場で勝ち続けながらも(ソロスの元を)自ら去った、唯一のファンドマネジャー」と高く評価しており、自分の息子に彼の元でトレーディングを学ばせたほどである。

その後1996年までニーダーホッファーは高いパフォーマンスを続け、世界一の投資家と称えられたが、1997年のアジア通貨危機で大敗し、彼のファンドも破綻に追い込まれた。
出典:ウィキペディア(Wikipedia)

ヴィクター・ニーダーホッファーは、日本の有名な株のトレーダー「B・N・F」さんのハンドルネームの由来となった人としても有名です。

NHKスペシャル・マネー革命の第1回放送「1日で50億円失った男」で、ヴィクター・ニーダーホッファーが取り上げられました。

ナシーム・ニコラス・タレブとは

この本の著者である「ナシーム・ニコラス・タレブ」について簡単に紹介します。

ナシーム・ニコラス・タレブは、不確実性科学が専門で、ウォートン・スクールMBAを修了し、パリ大学では経営科学の博士号を取得しています。

不確実性科学の教授にしてトレーダーという著者は、ニューヨーク大学クーラン数理科学研究所で、7年にわたって確率論のリスク管理への応用を、客員教授の立場で教えています。

マサチューセッツ大学アマースト校では、学長選任教授として不確実性科学を研究していました。

行動経済学や哲学などについても造詣が深いようで、知的探究心がとても旺盛な印象の人です。

レバノンでギリシャ正教の一家に生まれたタレブは語学にも堪能で、英語・フランス語・ギリシャ語などの多言語を話すことができるようです。

ニューヨークとロンドンで20年にわたる金融トレーダーとしての経験を持ち、ご自身でもヘッジファンドを運用していた“金融業界の知の巨人”といった感じのような人ですね。

ランダムウォークモデルや、それに関連する確率論に批判的であることでも知られています。

フィナンシャル・タイムズ紙の「年間ビジネス書No.1」

まぐれ|投資家はなぜ運を実力と勘違いするのかこの本は、著者が長い期間過ごした金融市場でのさまざまな出来事を通して培った、人間心理と感情への洞察の深さがとても興味深いです。

この本は世界30ヵ国語に翻訳されてベストセラーとなり、フィナンシャル・タイムズ紙の「年間ビジネス書No.1」を受賞したり、フォーチュン誌の「史上最高の知的な書」などにも選出されています。

ナシーム・ニコラス・タレブのようなバックボーンを持っている投資家は珍しいと思いますが、多くの教訓を得られる本だと思います。

このブログでも名著と言われるおすすめの投資本を紹介していますが、定番の投資本や普通の投資本とはちょっと違った趣旨の本が読みたい人にはおすすめです。

著者のナシーム・ニコラス・タレブの本といえば、この本の後に出された「ブラック・スワン(不確実性とリスクの本質) 」も有名で、Amazon創業者のジェフ・ベゾスの愛読書としても知られています。

もともとAmazonは本のネット販売からスタートしましたが、ジェフ・ベゾス本人も熱心な読書家だったようです。

この本が面白いと感じたら、「ブラック・スワン(不確実性とリスクの本質) 」も読んでみるといいと思います。

関連記事

Amazon創業者のジェフ・ベゾスの愛読書としても知られ、不確実性科学の教授にして金融投資家でもある「ナシーム・ニコラス・タレブ」の名著「ブラック・スワン〜不確実性とリスクの本質」を紹介します。 (function(b,c,f,g,a[…]

【Amazon創業者 ジェフ・ベゾスの愛読書】ブラック・スワン〜不確実性とリスクの本質

最後まで読んでいただきありがとうございました。

PR広告
Amazon Audilbe

Amazonの「聞く読書」Audible

Amazon audibleは、いつでもどこでも聴くだけで読書ができるオーディオブックです。 移動中、作業中やおうちでのリラックスタイムなどが読書の時間に。オフライン再生もOKです。

スポンサーリンク