個人投資家のバイブルとも言われる名著「賢明なる投資家」。
この本「賢明なる投資家」は、投資の神様と言われている「ウォーレン・バフェット」の人生を変えたといわれるほど、バフェットはこの本に強い感銘を受けたことで知られる個人投資家向けの名著です。
この記事では「賢明なる投資家」の要点にもなっている、「投資」と「投機」の違いにフォーカスして簡単に解説します。
この本は次のような人におすすめです。
- 時代に左右されない投資の本質を知りたい
- 「投資」と「投機」の違いを理解したい
- 自分はどのような投資が向いているのかを知りたい
- リスクとの向き合い方を知りたい
- ベンジャミン・グレアムの投資哲学を知りたい
賢明なる投資家の要点
「賢明なる投資家」の要点を簡単に説明します。
この本のタイトル「賢明なる投資家」からもわかるように、本書は投機家(speculator)ではなく、投資家(investor)に向けて書かれている本です。
株価が何倍にも急成長しやすいグロース株投資は人気ですが、この本はバリュー株投資向けの本なので、そのことは理解しておいた方がいいです。
“個人投資家のバイブル”と言われるだけあって、バリュー投資に興味がなくても、時代に左右されない投資の本質が詰まっているので、とても参考になると思います。
読み返す度に気付きがあり、投資が何たるかを再認識させられます。
投資初心者の方には少し難しい部分もあると思いますが、何度読み返しても本当に良い本です。
「投資」と「投機」の違いや、一般投資家のための証券分析など、本の著者「ベンジャミン・グレアム」の普遍的な投資哲学が詰め込まれています。
投資と投機の違い
「賢明なる投資家」では「投資」と「投機」を明確に区別していて、この違いをしっかり示しています。
自分がやっている(またはやろうとしている)のは、投資なのか投機なのかをしっかり理解して、“堅実な投資をしようね!”と言うのがこの本の重要なトピックになっています。
特に投資を始めて間もない方にとっては、「投資」と「投機」の違いを理解することが最も大事と言ってもいいかもしれません。
この本に書かれている「投資家」と「投機家」の定義を抜粋します。
投資とは、詳細な分析に基づいて行うものであり、元本を保全して、適切なリターンを上げることと定義する。この条件を満たさないものを投機と呼ぶ。
投資家と投機家の最も現実的な相違は、その人が市場変動に対してどのような態度で臨むかという点である。
「投機家の最大の関心事は、株価の変動を予測してそれによって利益を得ることである」
「投資家の最大の関心は、適切な価格で取得して保有することである」
出典:賢明なる投資家/投資と投機
「投資」と「投機」は“似て非なるもの”だということが、わかりやすく表現されていると思います。
本書では投資と投機を区別して考えるということを重視していますが、それぞれについても2つのタイプに分けています。
「賢明な投機」と「愚かな投機」
投機については「賢明な投機」と「愚かな投機」の2つがあるとしています。
簡単にいうと、この2つの投機の違いは以下のようになります。
- 賢明な投機
-
知識がある人が行うもので、世の中のためには誰かがやらなければならないのが賢明な投機です。
例えばベンチャー企業などへの投資は、ハイリスク・ハイリターンの投機的な側面がありますが、世の中が発展していくためには誰かがやらなければならない、賢明な投機といえるでしょう。
- 愚かな投機
- 投資と勘違いした投機や、許容できないリスクを負う投機などが愚かな投機です。
防衛的投資家と積極的投資家
投資家については、「防衛的投資家」と「積極的投資家」の2つのタイプに分けています。
- 防衛的な投資家と=安全かつシンプルな投資を好む人
- 積極的な投資家=防衛的な投資家よりも利益を望む人
それぞれのタイプの投資家が、どのように投資をするべきかが具体的に書かれていて、リスクとの向き合い方なども参考になると思います。
自分はどっちのタイプが向いているかな?という視点で読んでも面白いと思います。
投資家としての自分を客観的に見ることもできると思います。
賢明なる投資家の著者「ベンジャミン・グレアム」とは
「賢明なる投資家」の著者であるベンジャミン・グレアムは、アメリカの経済学者で証券会社まで運営していました。
「証券分析の父」、「バリュー投資の父」、「ウォール・ストリートの最長老」などと呼ばれるグレアムですが、もともとイギリス(ロンドン)のユダヤ系家系に生まれ、1歳の時に家族と共にアメリカに移住したようです。
アインシュタインを始め、ユダヤ系の人には世界的に名を残す著名で優秀な人が多いですね。
すでに1976年に亡くなっているグレアムですが、現代でも投資家の間で知らない人がいないほど有名なのは、あの投資の神様と言われる「ウォーレン・バフェットの師匠」として知られているからでしょう。
ウォーレン・バフェットの人生を変えた1冊
バフェットはこの「賢明なる投資家」を読んで強い感銘を受け、当時ベンジャミン・グレアムが教鞭を取っていたコロンビア大学に進学し、投資を学びました。
ベンジャミン・グレアムの授業を受けていた生徒の中では、唯一バフェットだけがA+を与えられたほど、バフェットは学生時代から優秀だったようです。
バフェットはグレアムへ「父以外で最も影響を受けた人」という賛辞を送っており、自分の子供にグレアムという名前を付けているほどです。
投資の神様とまでいわれるバフェットですが、この本に出会っていなかったとしたら、それなりに有名な投資家にはなっていても、神様と呼ばれるくらい偉大な投資家にはなっていなかったかもしれませんね。
まさにこの本「賢明なる投資家」は、ウォーレン・バフェットの人生を変えた1冊といえるでしょう。
時代を超えて読み継がれる投資の古典的名著
この本の初版が出版されたのが1949年なので、「賢明なる投資家」は約70年もの時代を超えて読み継がれている投資本ということになります。(翻訳版は1972年の改訂第4版を翻訳したものです)
もちろん当時はネット証券などなかったし、おそらく個人投資家向けのインデックス投資もなっかと思います。
そのような時代背景を理解して読まないと解釈が難しい部分もあります。
これから読むなら現代に合わせた注釈がついている「新・賢明なる投資家(上・下巻)」の方が分かりやすいかもしれません。
「賢明なる投資家」と「新・賢明なる投資家」の違い
本書「賢明なる投資家」と「新・賢明なる投資家」の違いは、現代に合わせた注釈があるかないかだけです。
注釈を加えたのは、「フォーブス」誌のシニアエディターなどを務めた金融ジャーナリストのジェイソン・ツバイクという人です。
「新・賢明なる投資家」は注釈がある分、かなりページ数が多くなっているので上・下巻に分かれていますが、原文の内容自体は全く同じです。
この本に書かれていることが理解できるようになったら、投資家としてのレベルが上がっていること間違いなしです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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