新NISAは、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のどちらにしようか迷っていませんか?
本記事では、新NISAつみたて投資枠の大本命、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬(実質コスト)や純資産総額を比較して、どっちがおすすめかを考察してみたいと思います。
※掲載した情報は記事執筆時点のものです。
信託報酬などは変更になる場合があるので、実際に投資する際は各ファンドの公式HPでご確認ください。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の比較
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の概要を見比べてみましょう。
商品名 | eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI ACWI指数 (配当込み、円換算ベース) |
S&P500指数 (配当込み、円換算ベース) |
構成銘柄数 | 日本を含む先進国23カ国および新興国24カ国の株式(約2,948銘柄) | 米国市場に上場している米国企業で時価総額と流動性が高い約500銘柄で構成 |
ウェイト | 時価総額加重平均 | |
購入時手数料 | なし | |
換金時手数料 (信託財産留保額含む) |
なし | |
為替ヘッジ | なし | 運用管理費 (信託報酬) |
0.05775%(年率) | 0.09372%(年率) |
純資産総額 (2024/3月時点) |
27,738.58億円 | 39,173.91億円 |
設定日 | ||
信託期間 | 無期限 | |
運用(委託)会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
ベンチマークを比較
ベンチマークはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が、MSCI ACWI指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はS&P500指数に連動した投資成果を目指して運用が行われています。
ファンド名 | ベンチマーク |
---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
MSCI ACWI指数 (配当込み、円換算ベース) |
eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
S&P500指数 (配当込み、円換算ベース) |
信託報酬と実質コストを比較
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、第5期決算日(2023/4/25)以降に信託報酬の引き下げが行われました。
※(注)実質コストに関しては第5期決算日(2023/4/25)の運用報告書に記載されている実質コストから、単に信託報酬が引下げられた分を差し引いた概算値となります。
ファンド名 | 信託報酬率(年率・税込) 【実質コスト】 |
---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
0.05775% 【注)0.11075%】 |
eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
0.09372% 【注)0.10572%】 |
純資産総額の比較
2024/3月時点の純資産総額も比較してみましょう。
投資信託の運用コストに関しては、純資産総額が大きい方がスケールメリットが働きやすく、運用も安定しやすくなります。
ファンド名 | 純資産総額 【2024/3月時点】 |
---|---|
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
27,738.58億円 |
eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
39,173.91億円 |
運用開始がeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の方が数ヶ月早いとはいえ、純資産総額ではeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を凌駕してます。
eMAXIS SlimシリーズではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)に続いて、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も純資産総額が2兆円を突破しています。
国内インデックスファンドの絶対王者として君臨するeMAXIS Slimシリーズの2トップは、純資産総額も順調に増えているようです。
パフォーマンスの比較
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の、過去5年間のパフォーマンス比較です。
「ピンク色の線がeMAXIS Slim米国株式(S&P500)」で「青色の線がeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。
画像出典:yahoo!ファイナンス
パフォーマンスの差はさておき、値動きに関してはほぼ同じような動きをしています。
組入上位10銘柄の比較
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の組入上位10銘柄の構成銘柄を比較してみましょう。
組入比率こそ違いますが、組入上位10銘柄は似たような銘柄で構成されているのがわかります。
下記データは2023年11月末時点のマンスリーレポートに掲載されている組入上位10銘柄です。
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント/マンスリーレポート
国・地域別組入比率と業種別組入比率の比較
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の国・地域別組入比率と業種別組入比率を比較してみましょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の国・地域別組入比率では、アメリカが大半の約60%を占めていますが、10位に近年話題のインドが入っているのが印象的です。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は米国のみです。
下記データは2023年11月末時点のマンスリーレポートに掲載されている国・地域別組入比率と業種別組入比率です。
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント/マンスリーレポート
新NISAのつみたて投資枠ならどっち?
新NISAで投資するなら、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のどっちがいいかを考えてみます。
一概にどちらがいいとは言えませんが、選択基準のポイントとしては次のようなイメージです。
- 資産運用の王道である分散投資を重視するならeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- カントリーリスクを理解した上でパフォーマンスを重視するならeMAXIS Slim米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の特徴
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む先進国23カ国と中国やインドなどの新興国24カ国の株式で構成されています。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に投資するだけで、全世界の株式に分散投資できるのが魅力です。
対象の国と地域は先進国が約89%で新興国が約11%の比率になっており、個人的にはこのバランスもオルカンの魅力だと思います。
資産運用に関しては「卵を一つの籠(かご)に盛るな(Don’t put all eggs in one basket)」という有名な格言があります。
この格言は分散投資の重要性を表す言葉ですが、株式の分散投資という点でいうと、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は究極の理想形と言ってもいいでしょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は信託報酬も業界最低水準に設定されており、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」では4年連続で1位を獲得するほどの人気ファンドです。
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の特徴
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)がベンチマークしているS&P500指数は、米国市場に上場している米国企業で時価総額と流動性が高い約500銘柄で構成されています。
世界経済を牽引する米国株は投資対象国として圧倒的な人気があり、その中でもS&P500指数に連動する投資成果を目指すインデックスファンドは安定の人気があります。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は信託報酬も業界最低水準に設定されており、S&P500指数に連動する国内の投資信託としては最も人気が高いファンドです。
世界的に有名な米国のビッグテック企業が組入上位を占めていて、高いパフォーマンスを期待する投資家から絶大な支持を集めています。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は純資産総額も右肩上がりで増えており、スケールメリットが働きやすいのも人気の理由と言えそうです。
カントリーリスクを理解した上で米国株式に分散投資を考えるなら、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は最も有力な選択肢といえるでしょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の分配金
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、今のところ分配金実績がありません(分配金を出していません)。
eMAXIS Slimシリーズは分配金に関して「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」という方針をとっています。
分配金は運用益から支払われるので、分配金が支払われると相対的に投資信託そのものの価値は下がる(基準価額の低下)ことになります。
長期的な資産形成という点では、分配金が支払われない方が有利に働くといえるでしょう。
分配金の「受け取り型」と「再投資型」を選択するのはなぜ?
分配金が支払われないにもかかわらず、なぜ分配金の「受け取り型」と「再投資型」を選択するのか疑問を持っている人もいると思います。
つみたて投資枠の対象となっている投資信託は、長期的な資産形成を考慮して頻繁に分配金が支払われないファンドが選定されています。
また、「信託契約期間が無期限または20年以上であること」と指定されています。
そのため、つみたてNISAで対象となっていた投資信託は、信託契約期間が無期限のものがほとんどだと思います。
信託契約期間が無期限の投資信託は、分配金を「無分配」にすることが認められていません。
そのような理由があり、支払われる頻度は少ないものの、分配金が支払われることを想定して「受け取り型」と「再投資型」を選択する必要があると考えられます。
eMAXIS Slimシリーズは信託報酬が段階的に引き下がる
画像出典:三菱UFJアセットマネジメント
eMAXIS Slimシリーズは、純資産残高に応じて信託報酬が段階的に引き下がる「受益者還元型信託報酬率」が採用されています。
eMAXIS Slimシリーズの各ファンドは、一定の純資産総額を超えた部分には段階的に低い信託報酬率が適用されます。
新NISAのつみたて投資枠で長期運用するには最適の投資信託
つみたて投資では定番の2択となっている、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。
どちらも甲乙つけ難く、新NISAのつみたて投資枠で長期運用するには最適の投資信託といえるでしょう。
最後に本記事のポイントをまとめておきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
- 投資対象は異なっても値動きは似ている
- 純資産総額はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の方が大きい
- 信託報酬はオルカンが低いが実質コストの概算値はそれほど変わらない
- 資産運用の王道を重視するならeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- カントリーリスクを理解した上でパフォーマンスを重視するならeMAXIS Slim米国株式(S&P500)
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