楽天証券から新たに販売されることになった『楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド』と『楽天・SOXインデックス・ファンド』。
同じ指数に連動する投資成果を目指す国内のファンドとしては、運用コスト(信託報酬)が業界最低水準ということもあって大きな話題となっています。
そこで本記事では、『楽天・NASDAQ(ナスダック)100インデックス・ファンド』と『楽天・SOXインデックス・ファンド』について考察してみたいと思います。
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドは、新NISA成長投資枠の対象商品になっており、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能になります。
※掲載した情報は記事執筆時点のものです。
信託報酬などは変更になる場合があるので、実際に投資する際は各ファンドの公式HPでご確認ください。
楽天NASDAQ100と楽天SOXの比較
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドがベンチマークしている指数や信託報酬、構成銘柄数などを比較してみましょう。
商品名 | 楽天・SOXインデックス・ファンド | 楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド |
---|---|---|
ベンチマーク | SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数) (円換算ベース) |
NASDAQ100指数 (円換算ベース) |
構成銘柄数 | 半導体関連の30銘柄 | NASDAQに上場している時価総額上位100銘柄 (金融銘柄を除く) |
ウェイト | 時価総額加重平均 | |
購入時手数料 | なし | |
換金時手数料 (信託財産留保額含む) |
なし | |
為替ヘッジ | なし | |
運用管理費 (信託報酬) |
0.176%(年率) | 0.198%(年率) |
純資産総額 (2024/3月時点) |
70.72億円 | 189.32億円 |
設定日 | 2024/1/30 | |
信託期間 | 無期限 | |
決算日 | 原則として毎年10月15日 (休業日の場合は翌営業日) |
|
運用(委託)会社 | 楽天投信投資顧問 |
パフォーマンスの比較
本記事を執筆している時点では両ファンドとも運用実績がないので、国内の類似ファンドで楽天NASDAQ100と楽天SOXのパフォーマンスをシミュレーションしてみます。
ここでは両ファンドの類似ファンドとして、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドとニッセイSOX指数インデックスファンドの直近データ(2024年1月時点)を比較対象にします。
「ピンク色の線がニッセイNASDAQ100インデックスファンド」で「青色の線がニッセイSOX指数インデックスファンド」です。
画像出典:yahoo!ファイナンス
組入上位10銘柄の比較
組入上位10銘柄についても、ニッセイSOX指数インデックスファンドとニッセイNASDAQ100インデックスファンドのデータを参考にします。
ニッセイSOX指数インデックスファンドの構成銘柄数30に対して、ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの構成銘柄数は101です。
下記データは2023年10月末時点のマンスリーレポートに掲載されている組入上位10銘柄です。
※対組入株式等評価額比
画像出典:ニッセイアセットマネジメント/マンスリーレポート
国・地域別組入比率と業種別組入比率の比較
国・地域別組入比率と業種別組入比率についても、ニッセイSOX指数インデックスファンドとニッセイNASDAQ100インデックスファンドのデータを参考にします。
国別に見ると、どちらも米国企業が圧倒的に多いですが、業種で見るとニッセイNASDAQ100インデックスファンドはそれなりに分散されているのがわかります。
下記データは2023年10月末時点のマンスリーレポートに掲載されている国・地域別組入比率と業種別組入比率です。
画像出典:ニッセイアセットマネジメント/マンスリーレポート
楽天NASDAQ100と楽天SOXの特徴
楽天NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドの特徴を簡単にまとめてみます。
業界最低水準の運用コスト
楽天NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドは、運用コストの低さが大きな話題となりました。
プレスリリースでは、業界最低水準の運用コストを目指すと記載されており、どちらも同じ指数に連動する類似ファンドの中では、運用コスト(信託報酬)が最低水準に設定されています。
保有しているだけでポイントが貰える
楽天証券は投資信託の保有残高に応じてポイントが貯まる「投信残高ポイントプログラム」というサービスがあります。
全てのファンドが対象ではありませんが、楽天NASDAQ100と楽天・SOXインデックス・ファンドは投信残高ポイントプログラムの対象となります。
つまり、楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドは、保有しているだけでポイントが貰えるということです。
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドの信託報酬とポイント還元率は次の通りです。
ファンド名 | 信託報酬率(年率・税込み) | ポイント還元率(年率) |
---|---|---|
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド | 0.198%(年率) | 0.05% |
楽天・SOXインデックス・ファンド | 0.176%(年率) | 0.05% |
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドの特徴
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドがベンチマークしているNASDAQ100指数は、NASDAQ(ナスダック)市場に上場している企業のうち、金融関連銘柄を除く時価総額と流動性が高い上位100銘柄で構成されています。
日本でも人気のS&P500指数は米国市場全体を対象としているのに対し、NASDAQ100指数はNASDAQ市場へ上場している企業のみが対象です。
また、S&P500指数の採用基準は米国の企業であることが前提ですが、NASDAQ100指数の採用基準に関しては、米国外の企業でも特定の基準を満たせば採用されるという特徴があります。
業種別組入比率では情報技術が圧倒的に多く、楽天NASDAQ100インデックス・ファンドに投資するということは、米国大型ハイテク企業への分散投資ともいえるでしょう。
NASDAQ100指数は1985年に設定以来、S&P500指数を長期間にアウトパフォームしている数少ない指数としても知られており、毎年12月に銘柄入れ替えが行われます。
NASDAQ100指数に連動する国内の投資信託では、楽天NASDAQ100インデックス・ファンドの信託報酬は最安水準に設定されています。
楽天・SOXインデックスファンドの特徴
楽天・SOXインデックスファンドがベンチマークしているSOX指数(米国半導体株)は、米国市場に上場している主要な半導体関連30銘柄で構成されています。
ざっくりいうと、楽天・SOXインデックスファンドへ投資するということは、半導体セクターへの集中投資といえるでしょう。
半導体関連銘柄に関しては、2023年から世界の株式市場を牽引しているということもあり、SOX指数に連動する投資信託も大きく注目されるようになりました。
新NISAの成長投資枠では半導体関連銘柄への投資を検討している人もいると思います。
楽天・SOXインデックスファンドは、投資信託でありながらSOX指数に連動するETF並みに信託報酬が低い点は大きな魅力です。
アクティブファンドの代替としてや、半導体関連の個別銘柄に投資を検討している人にとっても有力な選択肢になり得ると思います。
楽天NASDAQ100と楽天SOXならどっちがいい?
楽天証券のユーザーなら、楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXのどちらに投資しようか迷っているという人も多いのではないでしょうか。
人それぞれ投資スタンスが違うので、一概にどちらがいいとは言えません。
あくまでも個人的にどちらかを選ぶとすれば「楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド」を選びます。
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドを選ぶ理由
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドを選ぶ1番の理由は、構成銘柄が多く業種の分散効果も期待できるという理由です。
楽天・SOXインデックスファンドは半導体セクターへの集中投資なので、楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドに比べてリスクが高くなります。
半導体セクターの勢いは今後も続いていきそうですが、長期投資の視点で考えるとなるべくリスクは低く抑えたいので、銘柄や業種の分散効果が期待できる楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドの方を選びます。
ニッセイの類似ファンドと比較
NASDAQ100指数とSOX指数に連動する投資成果を目指す国内の投資信託では、『ニッセイNASDAQ100インデックスファンド』と『ニッセイSOX指数インデックスファンド』が現状では最も人気が高いファンドといってもいいでしょう。
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックスファンドは、この2つのファンドを強く意識して作られたと思われます。
そこで、それぞれの運用コスト(信託報酬)を比較してみます。
投資信託の運用コストは信託報酬の他にも、目論見書には掲載されない「隠れコスト」が存在します。
実質コストは運用してからでないとわからないので、あくまでも信託報酬のみの比較です。
楽天・NASDAQ100とニッセイNASDAQ100の信託報酬の比較
2024年3月時点の楽天NASDAQ100とニッセイNASDAQ100の信託報酬は以下の通りです。
ファンド名 | 信託報酬 【2024/3月時点】 |
---|---|
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド | 0.198%(年率) |
ニッセイNASDAQ100インデックスファンド | 0.2035%(年率) |
楽天・SOXとニッセイSOXの信託報酬の比較
2024年3月時点の楽天SOXとニッセイSOXの信託報酬は以下の通りです。
ファンド名 | 信託報酬 【2024/3月時点】 |
---|---|
楽天・SOXインデックス・ファンド | 0.176%(年率) |
ニッセイSOX指数インデックスファンド | 0.1815%(年率) |
隠れコストとは
投資信託には主に3つのコストがあります。
- 販売手数料(購入時手数料)
- 信託財産留保額(売却時手数料)
- 信託報酬(運用管理費用)
この3つのコストについては目論見書などで事前に知ることができますが、目論見書には「その他の費用・手数料」という項目があります。
隠れコストの内訳は、主に次のようなものです。
- 監査法人に支払われる監査費用
- 売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
- 有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用など
これらのコストは実際に運用をしてからでないと確定しないため、事前に「目論見書」などに記載されることはありません。
実際に隠れコストがどのくらいかかったのかを知るためには、「運用報告書」を確認する必要があります。
そのため、楽天オールカントリーや楽天S&P500に関しては、運用報告書に記載される隠れコストを見てから判断したいという人もいると思います。
運用コストとスケールメリット
隠れコストを含む運用コストに関しては、純資産総額が大きい方がスケールメリットが働きやすく、運用も安定しやすくなります。
そういう点では既に運用実績があり、純資産総額が大きくなっているニッセイNASDAQ100インデックスファンドとニッセイSOX指数インデックスファンドに分があると言えるでしょう。
運用コストは投資信託を選ぶ際の重要なポイントです。
楽天証券ユーザーの中には、既にニッセイNASDAQ100インデックスファンドやニッセイSOX指数インデックスファンドに投資しているという人もいると思います。
そういう人たちが、楽天NASDAQ100や楽天SOXに乗り換えるということも十分考えられるので、両ファンドの純資産総額も順調に伸びていくと思われます。
楽天NASDAQ100と楽天SOXが出来たことによって、今後はニッセイNASDAQ100とニッセイSOXの信託報酬も同じ水準に引き下げられる可能性が高いと思います。
楽天NASDAQ100と楽天SOXはどんな人に向いている?
今回は楽天・NASDAQ100インデックス・ファンドと楽天・SOXインデックス・ファンドについて考察してみました。
NASDAQ100指数とSOX指数に連動するファンドの人気が高いということもあり、楽天証券のユーザーにとっては2024年早々の朗報になりましたね。
これも新NISAの影響だと思いますが、魅力的な投資信託が続々と誕生してきます。
新NISAの成長投資枠で、この2つのファンドのどちらに投資しようか迷っているという人もいると思いますが、基本的にこの2つの投資信託は、ある程度の投資経験がある人向けの投資信託だと思っています。
そのため新NISAで初めて投資を始める人などの投資初心者には不向きだと思います。
特に楽天・SOXインデックス・ファンドについては、投資信託とはいえ投資上級者向けの商品だと思って、投資初心者の方は安易に手を出さないほうが無難です。
新NISAで初めて投資を始める人は、まずは「つみたて投資枠」でオールカントリー(全世界株式)などの投資信託に少額から積み立て投資を行うのが理想的です。
最後のまとめとして、この2つのファンドがどんな人に向いているかをまとめておきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
楽天・NASDAQ100インデックス・ファンド | 楽天・SOXインデックス・ファンド |
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新NISAの成長投資枠では半導体関連の投資信託を買いたいという人もいると思います。 本記事では『ニッセイSOX指数インデックスファンド』と『楽天・SOXインデックス・ファンド』について考察してみたいと思います。 株コ[…]